葬式1

カルセ:アゲハ、

    もうすぐ殮襲*だって

 

*殮襲:遺体を清め服を着せて包む事

 

アゲハ:随分と短時間で進めるんだな!

    さっさと邪魔者を片付けたい、ってか?

 

カルセ:明朝すぐに出棺*だそうだ

 

アゲハ:それにしたって、どのみち葬儀自体がおかしいだろ

 

*出棺:葬儀を行うために柩を出す手順

 

アゲハ:はるか昔に死んだ奴の葬儀を何でやる

    完全に見せかけだけだ

 

    ......

    …妙な気分だな

    お前は無事逃げたのにこうやって弔うのも変だし、

    セスルさんが捕まって俺が喪主になるのも変だし

    ほらよ、死んだ奴にやる組紐だ

    ふう、全く

    俺は親もいないから喪主なんてすることないと思ってたのに

 

カルセ:うーん…私が死んだらお前が喪主をするんじゃないか、アゲハ

 

アゲハ:縁起でもない事言うな、どうせ行くのに順番なんてない

 

    はぁっ、明朝が出棺だって?

 

カルセ:うん。明日はおそらくカリ君の友達も参列するよ

 

アゲハ:友達…良かったな、言いたい事は少しあるが

 

カルセ:……アゲハ

    出棺まで終わったらお前は多分...

 

アゲハ:分かってる

    「罰」を受けるだろう。やっと教師を辞めれる

    大丈夫、対して変わらない

 

アゲハ:……今まで隠し事が多くてごめん、カルセ

 

カルセ:じゃあ、もう話してくれるな?

    お前が経験した事、大変だった事も

    私はお前の親じゃないけど、私達は家族だ

 

アゲハ:……うん

 


 

アゲハ:わ~天気もひどいな

 

[雨和院の葬儀手順は、]

[幽鬼を刺激しない為に民間のものとはかなり違う方法で行われた]

 

一~二~よいしょ!

 

[喪主を含め葬儀に参列する全員が黒い服を着て首に赤い帯を巻く]

[雑鬼達に紛れる為である]

[喪主が青銅鏡眼の場合、ひよこ結びで片目を覆い死者の憑依を防ぐ]

 

ひよこ結びは受難に打ち勝つという意味の組紐だ

 

[喪主は袖の長い服を着て手を覆う]

[もし死者が側にいる時手を取って未練を与えない為だ]

[喪輿は質素に飾り喪輿が目立たないようにする]

[雑鬼に遺体がある事を気付かせない為である]

[哭声(鳴き声)は出さない ]

[代わりに哭声に似た歌を歌う]

[雨和院で亡くなった者は所構わう埋められない]

 

<第6神源入口>

 

[雨和院の墓地に通じる場所だ]

[第6神源入口を通じて行ける地]

 

[‘墓地’]

[奇妙に高く伸びた木々は石碑代わりに植えられたものだ]

 

さあ、一~ 二!ゆっくりと...

 

アゲハ:…ササ

    カリととても親しかったようだな

 

ササ :そんな先生、なんでこんな事が、起きるんですか

    いつも通りだったのに、制圧と実習も一番だったんです。すごく元気だったのに

    最後に見た姿が...

    あんな姿で…

    とても…残念です

    突然事故で死んだなんて、信じられません…

 

アゲハ:........

    俺と話をしよう。どうせ全部聞いてるんだろ

 

ササ :え…?何を言って...

 

ササ(修羅):.......

    言いたい事があるならどうぞ「先生」

 

アゲハ:.......

    お前がどんな事を企んでるか知らないが、

    攻めて来るなら大歓迎だ

    一度誰が死ぬか、やってみるか

 

ササ(修):大した覚悟ですね

    ですが「先生」は何もできない境遇ではありませんか

    今回の事で部屋に軟禁までされるとか

 

アゲハ:よく知ってるな。だからお前が俺の部屋に遊びに来い

 

ササ(修羅):……ほう

 


 

アゲハ:はああ

 

    ああ

    ああ~そうだ、そうだった

    あいつが宿題してたのを俺が奪って投げ捨てたんだ

 

 

[いないのを実感する瞬間は]

 

[一歩遅れてやってくるものだ]

 


 

<ふぃるる先生コメント>

主人公の葬式を行いましたがおぼろげには続きます。

 

修正日:2023/09/29



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