再び6(終)

アゲハ:糸を…?

    何ふざけた事を!

    黙ってじっとしてろ、今から縫合するから...

 

カウリ:いえ

    もう幽鬼の治療に糸を使うのはやめないといけません

    すでに魂に穴が沢山あいている

    記憶がはっきりしないのは糸を何度も抜いた影響です

    先生が馬鹿なせいでもありますが

 

アゲハ:これはマジだ!

    お前そいつはかなり深刻だ

    放っとけば死ぬ

    お前はとっくに死んでるが意味はわかるだろ?

    バラバラに飛散して

    完全に消滅する

 

カウリ:深刻なのは先生も同じです

    先生は俺を治したという事実だけ知っていて、あの時の記憶はないと思います。

    そうやって無くした事すら気がつかない記憶がどれほどあるか

    魂に開いた穴から記憶が漏れ続けてるのに気づかず、

    そうしてるうちに、壊れるのはあっという間です

 

アゲハ:…俺の服、

    なんで片方開けてるかわかるか?

 

カウリ:服ですか?

 

アゲハ:蹴りやすいように開けてるんだ!

 

カウリ:何を…!

 

アゲハ:ああ、俺はともかく、見ない間にお前まで馬鹿になったのか?

    どのみちお前が消えれば俺も終わるし、俺が消えたらお前も終わりなんだよ

    お前が可哀想で糸をやるとでも思ってんのか?

    俺らは同じ船に乗った、戦友みたいなもんなんだ

    お前がしっかりしてりゃ俺が生きられるからやるんだ

    だから、

    二度と俺の為だからって似合わない事をぬかすな

    深刻な事だからどうなんだ

    お前も、俺も。もっと大事なものをかけてここにいるんだろ

    俺はお前を待ち、お前は約束を守りに来た。

    お前はすぐに治るよ

    もっと強くなるかもしれない

    さあ…

    今後の計画を話そう

 

ジンス:……

    だから二人で会うのを見守れと言ったんですね

 

虎首長:君は「雨和院」でしょう

    どう思いますか

    自ら時鬼に糸を与える対話者について

 

ジンス:…俺もアゲハに命を助けられた人間です

    アゲハは...  人と幽鬼を区別せず手を差し出す

    そうですね。 時鬼を助けたのも今思うと当然ですね

 

虎首長:君の言う通りそれは善意です

    相手を選ばないからこそ純粋なものなのではないですか

    時鬼でさえもその心を感じ取るようですね

 

ジンス:アゲハ

 

アゲハ:あれ? 首長様と…

    ジン…ス…

    

    (ジンス?)

    

    ジンス?! お前が何でここに...  !

    ちょっと待て!

    この幽鬼が何をしてる奴かって言うと...  !

 

ジンス:時鬼だって分かってるよ。一緒に来たんだ。

 

アゲハ:え?どうゆう事?

 


 

[第3神源入口]

 

カルセ:(アゲハなら... きっとここを抜けたはずだ)

    (妖鈴の泉。アゲハがよく知る所でもあるし、とても広い所だ)

    (雨和院が気づいて捜索を始めても簡単には見つからないだろう)

    (でも... 眠る時はどこで寝るのか、)

    (食事はちゃんとしているのか)

    (目の届かないとこにいるから守ってやる事も出来ない)

    (同じ戦いの準備をしているから尚更不安だよ)

    (お前は一体、)

    (どこで何をしているのか...)

 

アゲハ:カルセ?

 

カルセ:アゲハ!

 

アゲハ:何でここに...

    まあ、ここで会えて良かったけど

 

カルセ:お前こそどうやって… いや、なぜ戻ってきた!

    見つかったらまた...  !

    ……どうした?

    あ

 

アゲハ:こんな事だろうと思った

    手があんななのに他が無事なわけがない。

    完全に怪我人じゃないか。何か知らないけど危険な事はもうするな

    今度は本当にケリをつけてやるから

    雨和院も、白魔地も!

    さあ! 話す事が沢山ある、探し物もあるし!

    見つかる前にまずカルセの部屋に行こう!

 

カルセ:(…でもなアゲハ、)

    私はもう...。

 


<ふぃるる先生コメント>

何事だろうカルセ

 

修正日:2023/09/30



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