ねんね1

母幽鬼:ねんねこねんねこ 我が子よ

    我が子よ よく眠る

    コケッコー鶏よ 鳴くな

    ワンワン ワンコよ 鳴くな

 

子幽鬼:あ…

 

母幽鬼:夜が明ける前に

    見つけないと、...ああ

 

子幽鬼:ああ…えぐぐ

 

母幽鬼:ごめんね赤ちゃん

 

    ねんねこねんねこ 我が子よ

    我が子よ よく眠る

 


 

アゲハ:この授業の名前が 「憑依基礎実習」だろ?

    なら実習をしなきゃならん

    実習するなら方法を知らなきゃいけない

    でも…

    教えた事ないよな

 

学生 :……

 

アゲハ:そういや、初日から本を捨てたな

    でも長老会で中間考査の準備をしろって言うんだよ

    あー…

 

*雨和院の実習科目は通常中間考査は理論で、期末考査は実習で行う

 

学生: あの、先生

    先週にソユ先生が理論授業してくれました。

 

アゲハ:そう?

    あ、そっか。代替授業だな

    ソユ先生なら1時辰一杯詰め込んだ授業だったろ

 

学生: はい...補習で半時辰増えました

 

アゲハ:なら良いな!

    多分ソユ先生は俺が一学期教えるよりも沢山教えてくれただろう!

 

学生: ソユ先生はアゲハ先生が来たら1巻第4章から教わるようにと言ってました

 

アゲハ:畜生どうしても理論させる気か

    うん...まあ、授業したくないからってお前らを巻き込むわけにはいかないか

    どうせする事もないし

 

アゲハ:1巻第4章なら、

    '憑依型幽鬼の事例'

    あーこれ

    初めて習った時に何で習うのかわからなかったんだよな

    ただ雑鬼の種類を暗記するだけだから、

    科と関係がなさそうだけど

    でも、学年が上がったら分かったよ

 

    これは一種の対話課専用注意事項なんだ

    憑依を繰り返すと幽鬼達が出入りしやすい体質になるんだ

    体がどんどん目覚めるんだ

    それで他の魂が入りやすくなってく

    だから憑依で害を与える雑鬼に特に注意しろってこと

 

アゲハ:さあ、1、母幽鬼

    そこ、さっき手あげた…

 

学生 :え?

 

アゲハ:そうだ、君が読んでくれ

 

学生 :1、母幽鬼

    赤子と一緒に死んだ母親の幽鬼

    赤子幽鬼を抱いている

    赤子の気は弱いため人に赤子幽鬼を強制的に憑依させる。

    赤子に取憑かれるとゆっくり気を奪われる

 

アゲハ:-その憑依方法は、

    母幽鬼が赤子幽鬼をしばらく預かってとぱっと押し付ける

    子を預かった瞬間に強制憑依

    母幽鬼の恨みが強いためはずすのも困難

    本当に赤ん坊の幽鬼なので無理に離すのも気が引ける

    これ雨和院にもいるから注意しろ

    命まで奪う幽鬼じゃないけど面倒だし

 

    まあ、幽鬼が渡してくる物を何でも受け取る馬鹿はいないだろう

 

    2、座った者

    さっき俺と目合った奴が読んでくれ

 

学生 :え?はい!

    2、座った者

    大抵は老人の姿である

    背負ってくれと頼み込み背負った瞬間憑依して体を奪う雑鬼

    主に川辺や山道に現れ、稀に人間と区別がつかないほど...

    形体がはっきりしている

 


 

アゲハ:おい、扉を閉めて入ってこい

    ああ、入ってから閉めろってこと

    それでどうゆう事か全部説明しろ

 

カリ :お元気そうですね

 

アゲハ:ゲ ン キ? 俺の台詞だ!

    お前何だよ、何で傷もないんだ?

    一週間姿を表さなかったくせに竜でも食ったのか? 

    これ確か目も一つ潰れてたってのに、こりゃ

 

カリ :この体を作った職人が直したんです

    目は新しいのを入れました

 

アゲハ:いやはや神技だな

 

    まあ、とにかく−

    五体満足なのは良いことだ

 

カリ :本当に良かったと思いますか?

 

アゲハ:何ぃ?じゃあ嘘だっていうのか?

 

カリ :……いいえ

 

アゲハ:これはどんなに良く言っても馬鹿だよ

    もういいけど、

    先週、三使の獄で何があった?

 

カリ :妖鈴の泉から戻ってから、先生に会えなかったので

    状況が分からずもどかしかった所、

    三使の獄に通じる裏口を知り、入る事ができたんです。

    でも裏口の呪術がすでに解かれてて、

    あの狩人も呪術が解けた状態でした

    おそらく…

    何者かが呪術を解いたようです

 

アゲハ:誰が?

 

カリ :わかりません

 

アゲハ:三使の獄の歩哨も気絶してて何も覚えてないそうだ

    何者だよ、一体

 

カリ :.........

 

アゲハ:あ、悪りい

 

カリ :誰かは分からなくとも狩人と関連あるでしょう

    その時、先生の目元に黄色い塗りがされていました

    そのおかげで先生の体でも力を使えるようでした

    狩人の憑依が解けると同時に消えましたが

 

アゲハ:そんなこと...

    修羅しかできないのに...

    どんな風に−

 

ナリ :アゲハさん!!

 

アゲハ:あの小娘が人の部屋の戸を勝手に…

 

ナリ :これを隠してほしいの

    早く!

 


 

<ふぃるる先生コメント>

7つ目の話「ねんね」を開始します。

 

修正日:2023/09/01



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