人形師谷3

森羅 :干し柿あるけど、食べる?

    それとも餅? 少し固いが米蜜つけるとおいしいよ!

 

セスル:食事はいい

 

森羅 :ああそうかい?

 

セスル:それより、話があるから出てきたんだろ?

 

森羅 :……

    麦茶が良い?水正果が良い?

 

セスル:あー食べる物はいいって!

 

森羅 :だめだよ、そんなんじゃ-

    生屍は特によく食べろと僕が何度も言っただろう!

    しっかり食べれば肉が腐っても新しい肉が早くつくんだ!

 

セスル:こんな種…使者について行ったほうが良い、

    何か富貴栄華を享受せんが為にこう生きているのか…

 

森羅 :ハハ、君があの世に行ったら寂しくてどう生きていけばいい

    そうだ、君の体はどうなの。

    僕があげた薬はよく塗ってる?

    肉の出来る速度が遅くなったりはしなかった?

 

セスル:変わらないさ、まあ。薬もちゃんと塗ってるよ。

    殆ど無いから買い付けも兼ねてきたんだ

    ところでそんな話をするために出てきたのか?

 

森羅 :あー

    ……

    あの時鬼の傷痕の事だ

    ああ、その胸元に輝く糸があるだろう?

 

セスル:ああ、あれ

    どっかのバカが時鬼の胸に時の糸を縫い込んだやつな

 

森羅 :そう...本当に狂気の沙汰だ

    糸がなかったらとっくに消滅してたのだが...

    その時の糸があの時鬼に多大な影響を及ぼしているという事さ

 

セスル:影響?

 

森羅 :気の密度が特に濃いのだが、

    あれは間違いなく人間の時の糸だ。人間の魂って事だよ。

    あの時鬼は人間の魂を、

    それも魂心のすぐ上に縫いつけて生きてるんだ

    本来時鬼というものは、

    人間の本性を忘れさせる程深い恨みで生まれるが、

    あの時の糸は忘れた人間の本性を再び呼び起こす

 

セスル:……それが何だ?

    良い事じゃないの?

 

森羅 :世の中の万物はそれぞれに合った本性があるものなんだ

    誰もが口をそろえて時鬼を悪と言うが、

    狩りをし食べる事が時鬼の本性なのだからどうしようもない

    だがすでに時鬼になった者に人間の本性が現れるなんて...

    時鬼の本性は絶えず魂心と時の糸を欲しがるだろうし、 

    人間の本性は...その事に '罪悪感' を感じ始めていく

 

セスル:カウリあいつが罪悪感?おかしな事をいうぜ。まったく!

 

森羅 :すでにあの時鬼は、

    人間のように生活し始めたじゃないか

 


カリ :体が無事なら良い

 

セスル:他でもないお前が '心配' してるみたいだから教えるんだ!

    ふぅっ…もしばれても俺が教えたって言うんじゃねーぞ、お前


 

セスル:……

 

森羅 :…死者たちの

    どうしても冥土に行けない...そんな深い深い恨みを晴らして、

    本来あるべき所に送ろう、とこの仕事を始めたのに...

    本性を逆らうのを嗾ける事になろうとは、全く…

    酒を飲まずにはいられない気分だ

 

    あの時鬼を君がしっかり見守ってくれ

    本性と本性が心の中でぶつかり始めたとき、

    どんな事になる分からないから...

 


 

カリ :それで、俺がいない間両足伸ばしてよく寝れたか?

    ケジャラ爺

 

ケジャラ:ワシがいつ寝る時足を伸ばして寝た?

     ワシが足を伸ばして寝たらくたばっちまう

 

カリ :ああ…この甲羅に入って寝てたのか

 

ケジャラ:!!

     ウアアアアアアッ、うわあ!

 

カリ :なんの用で俺を探してた、爺さん

 

ケジャラ:離せこの馬鹿者!

     今すぐ素直に下ろせないのか?!

 

カリ :用件を言え

    床に叩きつけて甲羅を割られる前にな

 

ケジャラ:ひゃあああ うわあ!

 

カリ :1つ、2つ、

 

ケジャラ:客がきてる!

 

     お前が人間の器に入って消えた頃から!

     ずっとお前を出せとわしを責め立てるんだ!

     お前は雨和院に居ると何回言っても聞かんのだ!

     だからここでお前を待っていた、どうせその体は一年もたないんだから!

  

カリ :客だと。を探す者などいるはずない

    でたらめを言うなら…

 

ケジャラ:時鬼!

     お前以外にも生き残った時鬼がいて!

     その時鬼がお前を探してる!

 

カリ :時鬼が俺を何故探す?

 

ケジャラ:そりゃわしも知らんー!わしも知りたいくらいだ うう !

 

カリ :……

 

ケジャラ:ぎゃあ!

 

カリ :案内しろ

 

 

 

ケジャラ:えへん-えーあのー

     アロンいるのか。

     カウリがついに現れたのだが−

 

 

[時鬼 アロン]

 

アロン:あら!

    本当なの、おじいさん?

 


 

<ふぃるる先生コメント>

カウリはケジャラより古い幽鬼です

 

修正日:2023/08/23



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