解き解す7

森羅 :(足枷は外す事も、切る事もできない。)

    (僕の力では弟者の呪術をどうにも出来ない。)

    (だが、自分の体はどうにか出来る。)

 

    ま…た…

    また...付けなくちゃ…

    逃げるには…

    足が…なくちゃ。

 

    はは…

    それでも... 弟者のおかげで…

    材料は... 簡単に集まったから、

    良かった...かな。はははは…

    早く。

    しなくちゃ。

 


 

森羅 :坊。坊?

    坊。

 

アゲハ:……

 


 

森羅 :...

 

狩人 :森羅が逃げたぞ!

    逃げた!

 

森羅 :くそっ!

 

    くうっ!

 

    坊。

    大丈夫、坊、さあ。

    これを僕が出れる大きさにまでするには少しかかる。

    だから君は少しでも遠くへ行くんだ。

    大丈夫、僕も行くから。

    君を一人で行かせはしない。

    さあ、坊。

    あそこをごらん。

    雪というんだ、珍しいだろう?

    白魔地は十年に一度だけ雪が降るんだ。

    この先にもっと行ってごらん

    もっと...

    この先に。

    外に。

 

修羅 :よく分かりました、兄者。

    絶対に私を手伝わないという事ですね。

    それでもこんな事はいけませんね。白魔地の貴重な財産を盗もうなどと。

 

森羅 :くうっ…うぅ…

 

修羅 :この人間の子供がそんなにも心配でしたか?

    時の糸が解けたら記憶の糸も解けて、壊れると?

    それしきの事を何故心配するのか

    私が少し力を使えばこの子は、歩き方を全て忘れて、

    また少し力を使えば、自分を育ててくれた人が誰かも分からなくなるのに

    人間の魂とは元々このように弱いものだ。

    どうせ簡単に忘れて、簡単に壊れてしまう

 

森羅 :くううううっ…

 

    なぜ嵐に蜘蛛の巣が消し飛ぶ心配をするのか

    そんな心配をして俺の邪魔をするなら今すぐに出て行って下さい

    望み通り解放してあげます、兄者。

    どうぞお元気で

 

    子供を連れてこい。

 

狩人 :はい。

 

森羅 :くうっ…坊。済まない…

    坊。

 

修羅 :奴が言った事はなんだ、

    何と言った!

 

森羅 :…弟者。

 

修羅 :(...伝言!)

 

森羅 :坊に僕らの‘秘密’を残したよ。

    僕らの一番大事な秘密の話をね

    今は‘秘密’を覚えていないだろうが。

    その子が、15才になっても白魔地に残ってたら…

    子供はすぐに秘密を思い出すだろう。

    その秘密で、

    僕らを殺すよ

 


 

<ふぃるる先生コメント>

今週もありがとうございます:D

 

修正日:2023/09/21



コメント: 1
  • #1

    ぴょん吉 (月曜日, 26 3月 2018 00:21)

    ああ…あの雪の記憶がここに…。切ない(T-T)