カリ3

(生前にこんな考えをした事があった)

(もし俺に、)

(青銅鏡眼があったなら)

(平和で平凡な日常を想像した)

(すると繋がらなかった縁が出てきて、)

(糸口すら掴めない惨状が思い浮かんだ)

(俺の目に馬鹿げた鏡の欠片があったとしても、)

(俺の人生は手詰まりだった)

(しかし、)

(生前の自分の姿にそっくりな人形を手に入れた時、)

(その人形の目を見た瞬間、)

(俺は生前の記憶をほとんど失ったにもかかわらず、)

 

森羅 :わあっこりゃ! 触らないで、僕が片付けるよ!

    怪我しなかった?!

 

(わけも分からぬまま動揺した)

 

(揺らいだ)

(人形の体に入ったその瞬間からすでに、)

(人間のように変わり始めたのだ。)

(まるでまた生き返ったようで、)

 

 

アゲハ:まあ、とにかく、怪我がなくて良かった

 

カリ :……

    本当によかったと思いますか?

 

アゲハ:何ぃ?じゃあ嘘だっていうのか?

 

(生きていると勘違いしないよう努めた)

 

(俺は時鬼だ)

(人間であることを捨てねばならず、それで記憶も痕跡も捨てた)

(そして今、)

(その全ての痕跡が奇妙な縁で集まり亡霊のように俺の前に立っている)

 

カウリ:滑稽だな

    幽鬼を大勢喰らって怪物のように体を肥やした自分が亡霊か、

    記憶の残滓と遺骸を入れて動くあいつが亡霊か

    カホン!

    とにかくこいつを消せば俺の遺骸も消える

    修羅の企みは気分が悪いが、

    これを好機としてみるか!

 

    くっ!

    くそ...!

 

アゲハ:何だ、どうした! 攻撃止めて!

 

カウリ:修羅が何故わざわざ...こんな事をしたのか分かりました

    さっきあいつの左足を攻撃した時、俺の左足にも痛みを感じた

 

アゲハ:……どうゆう事…?

 

カウリ:もう一度試してみましょう

 

アゲハ:何⁈おい! ちょっと待って!

 

カウリ:くうっ!

    …やはり

    俺はあの人形の痛みを感じる

    あの人形を傷つける度、俺自身も攻撃を受けるようだ

 

アゲハ:じゃ、じゃああの人形を消したら、お前は!

 

カウリ:どうかな、

    果たしてどうなるのか

    遺骸をなくして天神に上がれるのか

    苦痛に耐えきれず人形と供に消滅するのか

 

アゲハ:とにかく壊すっていうのか? 危険すぎる...

 

カウリ:先生

    夜明けに巨大な気の揺れを感じました。

    神源入口を初めて破壊した時のように、しかしさらに強い揺れを。

    修羅が来ています。

    俺たちにはもう時間がない。

 


 

[妖鈴の泉 秋地域の外郭]

 

アロン:ふぅうううむ

    ヒマですね~

 

セスル:よくそんな事言えるな

    夜明けに気の揺れを感じたろ。 神源入口が壊れたんだ

    いつ狩人が襲ってくるかもしれない

    もしくは雨和院にバレるかも…

    決起日… 四面楚歌だな…

 

アロン:あら?

    なんの音かしら、これは

 


 

修正日:2023/10/01



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