蜘蛛の檻20

修羅 :神竜到来、よくも我に手を掛けるとは

    受けたものは当然返さねばならぬ

 

カホン:(殿下、殿下…!)

    (くそっ…)

    (どうすれば殿下を助けられる?)

    (神竜から賜ったのだ、並大抵の剣ではない)

 

三門将:将軍…?

 

カホン:殿下!

    殿下、大丈夫ですか!

    なんて事だ、体がこんなに裂けて...

    角も…

    信じられない、どうして…

    何でこんな事が出来るのか、どうして…

 

殿下 :…ホホ

    お前が泣く姿は初めて見るね

    いつも無表情だから泣くとは思わなかった

    しかし今は感情にとらわれるな

    今だけはいけないよ

    あの者は...何か違う

    この程度の攻撃で倒れる者ではない

    神竜を封印できる力を持った者だ。

    一体あいつは...何者なのか

 

    お前は一体…何者だ

    何故そんなにも青銅鏡眼を持った者を嫌うのだ

    彼らを鏡泥棒と称していたが、

    青銅鏡眼と鏡の話は古い伝説のようなものではないのか。

 

修羅 :古い伝説だと…

    そうなったな

    孫を寝かしつける時に聞かせる昔話のようになった

    過ちと真実を隠して、

    自分達を哀れに言い繕ったおぞましい話になってしまった!

 


 

遥か遠い昔、目玉なく生まれた人間がいた

それ故に一人では満足に暮らせなかった

その時慈悲深い神が現れた

 

彼は、

自身を称える祭祀に使われた青銅鏡を壊し

その破片を眼窩に嵌め込み世界を映そうとした

だが青銅鏡の破片は世界を映すだけに留まらなかった

光を照らす神秘的かつ神聖な物の破片は、

普通の人間には見えないものまで映したのだ

 


 

修羅 :笑わせるな!

    人間はただ欲のために鏡を盗んだのだ!

    天の秘密をその取るに足りぬ目に映し 、勝手に利用し始めたのだ!

    我が守っていた鏡でだ!

    その罪、その巨大な罪を贖罪せねばならぬ

    青銅鏡眼の人間は勿論、その一族を国に受け入れた神竜到来、貴様も!

 

殿下 :…古い存在だと感じてはいたが…

    お前は一体…何者だ

 

修羅 :話したところで無駄だ

    知る必要もない

    神竜到来!

    人間達の眼前でその生涯を終えるがいい! 

 

カホン:(殿下を…助けなければ)

    (くそっ...)

    (今手には何もないのに、一体俺はどうすれば...)

    (どうすれば殿下を...!)

 

    これはどうゆう事だ、

    3門将!

 

三門将:あの…しょ…将…軍…

    糸が…俺の…頭に...

    そ、そして…

    将軍の頭にも...!

 


 

<ふぃるる先生コメント>

「蜘蛛の檻」の話もほとんど終わりに近づいていますね。今週もありがとうございます!

 

修正日:2023/09/07



コメント: 0