白魔地へ4

修羅 :貴様が白魔地にこう忍び込んでくるとは何事だろうか…

    これの為だろう

    蜘蛛将軍カホンの遺骸

    見たところ生前の記憶をほとんど取り戻したようだ

    ならば我らの悪縁も覚えているんだろう?

    将軍、あの時は誠にご苦労であった

    おかげで神龍も簡単に捕えられたし

    到来もすぐに滅ぼすことが出来た

    死んで安らかな眠りを願ったが…そうならずに残念だ

 

カウリ:全て貴様のせいだろう

    青銅鏡眼の民を受け入れたからといって国を滅ぼすとは

    そうだ、先程言った「面白い部分」を詳しく聞かなくては

    その為にこんな状況になったんでな

 


 

夜の天:古くから、

    とても長い時間をかけて祭祀を行い、

    とてもゆっくりと

    清い気をなみなみと蓄えた

    神聖な鏡

 

修羅 :天様

    何をしているんですか?

 

夜の天:修だね

    私の時の糸と記憶の糸を、鏡に入れているのだ

 

修羅 :何故、何でそんな事をするのです?

    鏡は死者の安息所だとおっしゃってたじゃないですか!

    天様は生きるじゃないですか!

    天様…!

    天様、死んではいけません

 

夜の天:修を驚かせてしまったね

    私は死のうとしてるんじゃない

 

修羅 :だったら何故...

 

夜の天:準備をしているんだ

    いつか私の命が尽きようとも、この鏡を守り続けられるよう…

    少しずつ、自分の魂を移しているんだ

    心配しなくて良いんだよ

    私がもし目を閉じる時は、

    その時は修も受け入れる準備が出来てるよ

 


 

人間 :ちょっとお尋ねします

    こちらは夜の天が住まわれている神域ですか

    私は朝の天を祀る司祭です

    お伝えしたい事があり参りました

 

修羅 :あれが「人間」? 朝の天を祀るという?

 

森羅 :そうみたい

    顔に皺があったじゃない

    人間は体が早く育つんだって

 

修羅 :僕らの天に何を伝えてるんだろう?

 

森羅・修羅 :お?

 

夜の天:そんな... 無茶な要求をするなんて

    鏡を… 渡せと言うんだ

    その「人間」という者に与える「目」の材料が足りなくて

 

修羅 :あり得ない!

    では今彷徨っている魂はどうなるのです!

 

夜の天:その魂達についても別に計画を立てたというが…不安定で。 信じられない

    ………方法は一つだけだ

    お前たちにはすまないが…

 

    「受け入れる準備」をしてくれる?

 

修羅 :はい

 

森羅 :はい…

 


 

修羅 :天様に、負担を増やしたくない

    だから、

    準備すると、受け入れると、

    すぐに答えたけど... 僕は自信がない!

 

森羅 :僕らはちゃんと耐えられるよ

    夜の天が僕らを信じてるじゃないか

    僕らが出来るから信じてくれるんだろう

 


 

夜の天:…方法は一つだけだ。私が鏡にならなければ

    命が尽きたら鏡に入ろうと思ったが...こんな状況がこうだから予定を繰り上げねば

    私が鏡になれば朝の天も触れぬだろう

    

    森

    修

 

    祭祀をしておくれ

    私は今から鏡になるから

    鏡を私と思っておくれ

 

修羅 :て、天様…!

 

 


 

修正日:2023/09/29



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