蜘蛛の檻3

 武官 :'除霊'だ。

 

*除霊:幽霊を成仏させる

 

カホン:(殿下、どうして...)

 

(殿下:それなら特別難しい問題を準備しなくちゃね。)

 

カホン:(難しい問題を出すと言いましたよね、)

    (解けない問題を出すなんて言わなかったじゃないですか)

    (……)

 

武官 :静粛に、静粛に!

    もちろんこの中に青銅鏡眼のない者もいる。だが、

    到来には'あの'封印の山があり、

    大陸の西に位置するせいで幽鬼の問題が際立つ所だ

    よって到来の武官は、

    幽鬼問題に対処できるべきというのが殿下の意だ。

    名前を呼ぶ順に出て来て除霊を見せるように

    見事成し遂げた者はその瞬間から到来の武官である

 

 

武官 :次、封印の山−

    オルネ・カホン

    うん? 何だ? 棄権するのか?

    確かに、青銅鏡眼がなければ難しい問題だ

    それでもここまで頑張ったな

    うあああー

    お、お前何をするんだ!

    鬼物を割ると幽鬼が怒り狂うのを知らないのか!

 

カホン:知っています。そして…

    怒り狂う幽鬼は鬼気現象を起こす事も知っています。

 


 

カホン:…どうして俺を連れて来たのですか、殿下

    単に死ぬ子供を救うためだったのですか

    それなら宮で暮らす必要なかったでしょう

 

殿下 :お前の言う通りだ

    ただ救う為なら適当に良い家に連れて行っただろう

    私は、さらに強い垣根が必要だ

    目に見えない風に揺れても、

    屈せずに自らの役割を果たす垣根だ

    私は見えぬものに屈しないお前が気に入った

    ホン

    お前は頑丈な垣根になれるかね

 


 

殿下 :何? それで朝から今迄ずっとそうしているというのか!

 


 

カホン:で…殿下!

 

武官 :殿下!

 

カホン:俺は…青銅鏡眼じゃない…

    幽鬼なんて…見えません

    除霊など出来るはずがないのです

    ですが、到来の武官として到来を守れと命じられたら

    相手が幽鬼であっても守ってみせます

 

殿下 :…おまえ

 

武官 :はい、殿下!

 

殿下 :少しも怪我はないね。

 

武官 :はい、その者が…

 


武官 :では、合格者を発表します!


 

殿下 :あの問題は、お前を落とす為に出したものだった

.

カホン:...意地が悪いです

    武科を受験するな、その一言だったら俺は従いました

 

殿下 :お前がどう出るのか見たかったのだ

    お前に与えた一つの試験だ

    たとえ青銅鏡眼がなくとも、

    封印の山出身が幽鬼の問題から完全に降りる事は出来ないだろう

    幽鬼に対するお前の処世術を見たから、頭上のそれを心配しなくても良いね

 

カホン:…どうせ見えないし感じもしないので、俺にはよく分かりません

 

殿下 :人に幽鬼が付くのは全て理由があるのだよ

    手だけだから特別害はないが…

    まあ、大丈夫だろう

    ホン

 

カホン:はい…

 

殿下 :北到来に行きなさい

    2次武科まで合格したのだから、北到来城の守備隊に入れるだろう

    宮で私と共に暮らしてきたお前だ

    お前がすぐに宮の武官になれば確実にくだらぬ話がでる

    辺境に行き、功績を立て、広く認められてきなさい

    お前の本当の最終試験はこれになるだろう

 


 

<ふぃるる先生コメント>

うわあああ100話目ですね おめでとう^o^〜!

 

修正日:2023/09/06



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