第7神源入口16

 アゲハ:う…わあ…

    手が…口になった…

 

カウリ:確かに、初めて見る形態の天神だな。

 

巨里 :そこにいるのは「ソトン」の子供か。

    そうか...お前だけが生き残ったのか。

 

アゲハ:そ...そうだ!

    なぜ暴れるんだ、俺たちが何をした!

 

巨里 :村に大変な事が起きたから力を使ったのだ...

    我はただ悪い気を感知して排除するだけだから

 

アゲハ:悪い気を感知して、排除する…?

    それじゃセスルさんが初めてここに来た時も...

    この野郎、そんなの無いぞ!

 

セスル:いいって、いいって、お前

    神源はいつどんな形であれ危険な場所だから、探査隊として悔いはない

    俺たちが今相手しているのは一般的な天神じゃない

    天神に分類できるかも俺にはよく分からん

    あれはとても古い神だよ

    ひとまず帰る方法から調べよう

 

アゲハ:あの、俺らは神源の外に出たいんだけど...

    俺たちを出してくれ。その...岩さえ震えなければいい

 

巨里 :それは出来ない

 

アゲハ:何?!

 

セスル:おいこらっ、喧嘩をするな!

    話を聞いて、説得するんだ。お前「対話者」だろ。

 

アゲハ:うう…説得…やってみる…

    えっと、なんで...

    それは出来ない?ただ大人しく出て行くだけが?

 

巨里 :私は…「ソトン」との約束を守らなければ

    許諾を受けていない者は、

    私を通過できない

 

カウリ:「許諾」だと…?

 

セスル:「許諾」ってあの「許諾」?俺らが知ってる許諾?!

 

アゲハ:何の許諾だよ、誰から貰うんだよ?!

    「許諾」って一体なんだ!

 

巨里 :「ソトン」の子が私に「許諾」を尋ねるとは、

    んん…村の図書達は何をしてたんだ

    それはこの地に宿る力だ。天然呪術とも呼ばれる

 

アゲハ:天然...呪術?そんなのがあるの?

 

セスル:こりゃかなり興味深い話を聞いてしまったな

 

アゲハ:え?

 

セスル:「許諾」の事は長老達の中でも少数しか知らない

    正確にどんな原理の呪術なのかは教授達でさえ知らん

    「天然呪術」なんて

    俺も初めて聞いたよ。

 

巨里 :「許諾」を受けぬ者はこの村に入ってはいけない。

    勝手に出ても行けない…

    他人の土地に侵入した対価は払わねばならない。

 

アゲハ:だから、その「許諾」って、誰から貰うんだよ!

 

巨里 :当然「主人」からもらう

    ここでは、この土地の主人。

    「ソトン」の一員に。

 

アゲハ:えっ…

    俺⁈…

 

セスル:ほう

 

巨里 :入るのも、出て行くのも、君は自由にできる。

    だが他の者はできない。

    「ソトン」の許諾を貰っていない

 

アゲハ:う…どうすんだ、ただ許諾すると言えば良いのか…?

    ......

    はは、ちぇっやっぱ簡単にはいかないな。

 

セスル:ふーむ

 

アゲハ:どうしよう、セスルさん。

 

セスル:えっと…意外に簡単かもしれないぞ。

    人間が作った呪術じゃないなら仕組みは単純だろう。

    わかるな?最も基本的な呪文。

 

アゲハ:名前を呼ぶ?

 

セスル:ダメで元々じゃないか、難しくもないし。

 

アゲハ:うーん…

    えーっと…セスルとカウリを.. 

    えっと…許諾する?

    この村に出入りするのを…

 

セスル:ふははは、その言い方は何だ!

 

アゲハ:ああなんだよ、大事なのはこれでしょ!

 

巨里 :.......

 

アゲハ:.......

    あ、さすがに。こんな簡単にはいかない...

    うわっ、何だよ、どうしたんだ?!

 

カウリ:先生!

 

セスル:待て、見ろ!

 

アゲハ:うえっ、本当にこれで?

 

セスル:ほう、こりゃマジで…かなり重大な事を知っちゃったな。

    許諾は「土地の主」が名前にかける呪文。これだ。

    だとしたら雨和院の地主は誰かな。

    まあ、とりあえず帰ろう。

    疲れて死にそうだ

 

カウリ:この神源入口を守ってた人間、まだいるだろう?

 

セスル:えーっと…そうだな、係だから。

    はあ...お前またアゲハに入らなきゃいかんか。

 

アゲハ:妖鈴がいなきゃできないけど

 

セスル:あ。

 


 

<ふぃるる先生コメント>

口を大きく描くことがないので…今回の話の作業はとても面白かったですフフフ

今週もありがとうございます!

 

修正日:2023/09/27



コメント: 2
  • #2

    ぴょんきち (火曜日, 06 11月 2018 17:55)

    ラストのオチがww
    興味深い話と、テンポ良い展開で楽しかったです。

  • #1

    喜田 (月曜日, 15 10月 2018 18:54)

    おおおなるほどそういう事ですね!
    雨和院の主は誰だろう、やっぱり神鷹ですかね