山神会4

カリ : 時の糸は、時鬼には良い餌に過ぎぬ

    生者も死者も関係ないわ

 

アゲハ(疫神):そう思いますか

    それではお前は時鬼が人間の村を襲撃したという話を聞いた事があるか

    生きた獣を狩猟したという話は?

 

カリ :……

 

アゲハ(疫神):時鬼はいつも幽鬼を喰う

    同じ幽鬼を喰べるので余計に質が悪いとされるのだ

    しかし生きたものは食べない

    人間であれ、獣であれ

 

    だがお前は生きている者の時の糸を、

    魂心のすぐ前に縫われているのだ

    呼吸して、血が巡る、

    まさに今も過ぎゆく時の流れに押されていく人間ということだ!!

 

    …それは生きる者の時間だ性質が違う

 

    強力に見えるがお前の完全な力ではない

    お前の胸の糸...おそらくこの体の主のものだ。そうだろう?

    お前はこの者の糸に頼って、辛うじて存在しているのだ!

    だから考えてみなさい

    きっとお前に何か変化があるだろう

 

虎首長:何の話をそう楽しそうにしている

 

アゲハ(疫神):スチョン

 

虎首長:貴様は茶に口もつけないんだな

    糸じゃなきゃ嗜むこともしないのか?

    夫人、どうだ。力を制御できるか?

 

アゲハ(疫神):この体に入ってからは、

    私が望まなければ疫病をまき散らさずに済みました

 

カリ :'制御' と

    人間の体に入れば力を制御できるのか?

    いや、それより…

    疫神が何のためにあえて力を制御する?

 

アゲハ(疫神):お前は自分が知りたい事があると口を開くのだな。

    どうせ教えるつもりだった

    お前の力を借りるつもりで家に入れたのだ

 

虎首長:夫人、それがどんな-

    …きた

 

カリ :あれは...

 

虎首長:天神マウンだ。

    あれが現れたら

    この谷のすべての人々が気を失って倒れてしまう

    私は神竜流下に力を受けてその影響を受けないようだ

    夫人と貴様も…人間の体に入ってるがそもそも幽鬼だから起きていられるようで

    初めは1、2時辰程度だった...気を失う時間が

    しかし次第に増えて…

    今では一度眠ったらほぼ一日中目覚めない

 

カリ :この事が何故外に知られていない?

    こんな大問題広まらない筈がなかろう

 

アゲハ(疫神):倒れた人達はこれを覚えていない。

    倒れている間に過ぎた時間を認知できなくて

    朝倒れて夕方起きても

    それがおかしいとは思わない.

    強力な呪術だ

    強力な天神です

 

カリ :妙だな。

    天神が呼ばれてもいないのに自ら人間の前に現れるとは...

 

アゲハ(疫神)夫人:呼ばれたのだ、あの天神は

    天神マウンは…人間の祈りを聞き体の痛みを和らげる神だ

    疫神の天敵でもある

    それで-

 

虎首長:夫人

    自分を責めないでくれ

    これは全部私のせいなのだ

    マウンを呼ぶと決めたのは結局このスチョンなのだ

 

カリ :それで、俺に何を望む?

    さっき貴様が言った通り俺は地祇級の幽鬼だ

    あれを相手しろというのではないだろう

 

アゲハ(疫神):相手は私がする

    お前はただ私を手伝えば良い

 

カリ :ふん

 

アゲハ(疫神):鼻で笑わず話しをよく聞きなさい、時鬼よ

    この人間を無事返してもらいたいならな

    ついて来なさい

    行きましょう、スチョン

    私の妖鈴と青銅棍を持ってきてください

 


 

<ふぃるる先生コメント>

今週もありがとうございます!幸せな一週間になりますように:>

 

修正日:2023/09/05



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