時の糸4

カルセ:(時の糸だ)

    (鬼眼を奪われてまともに見えないが、)

    (分かる)

    (気の流れに手を入れたような感覚)

    (あの子が私の前に自分の糸を差し出してる)

    (すぐ目の前に...)

 

    駄目だ!

    駄目だ、駄目だ!

    それはできない…

    人間の糸を取るのは...タブーだ

    そんな真似をするならいっそ死なねば...

    私は雨和院の番人だから...このまま死ななければ...

 

    (どうして、番人などになったか)

 


 

カルセ:(ずっと)

    (話せなかった事がある)

 

    (母さん)

    (やつれて陰鬱としてた母)

    (いつも静かに遠くの空ばかり眺めていた母)

    (亡くなる時でさえ一言の遺言も残さなかった母。)

    (母の葬儀を終えて家に戻った時、)

    (母の幽鬼がついて入って来たのです。)

    (私が見ているのを分かっているはずなのに、)

    (視線一つくれない、)

    (母屋に入りいつものように遠くの空を眺めていた)

 

    (誰にも話せなかった)

    (自分の力ではどうする事も出来なかった)

    (制圧科を選んだ理由は、)

    (もし母が悪鬼のようなものに変わったら、)

    (直接この手で退治するため)

    (しかし母は何も変わらず、いつもそこに縫いつけられたようにいた)

 

    (母は虚しかったのだ。)

    (生きてる時も、亡くなった後も)

    (その目つき。)

    (私は母に似ていた)

 


 

カルセ:(私もやはり死んでも変わらないだろう)

    (虚しい...)

 

    くうっ、ふぐっ…

    ふうっ、ぅくっ…ふうっ…

 

アゲハ:なんでダメ?ここの狩人はいつもこれ食べてるのに。

 

カルセ:駄目だ…

    私は人間だし...君も人間じゃないか

    人間が人間を...食べることはできない…

 

アゲハ:ああ…

    大丈夫、僕は家畜だから

    これは食べられる

 

カルセ:君は人だよ

    あいつらが...君をこんな風に縛り付けても。

    君は人なんだ。

    狩人共が...君の糸を毎日食べても...

    私は、そうするつもりはない

    人間の...道理は捨ては...しない

  

    (空虚)

 

    (空っぽだ)

 

    (何もない)

 

    (温度さえない)

 

    (果てしなく寒い…)

 

    (ああ。考えてみたら私は幽鬼にもなれないな)

 

    (魂がズタズタに裂けた…)

 


 

カルセ:(何だ... ?)

 

アゲハ:何だか分からないけど、悪いのはみんな僕だよ。

    みんな僕のせいなんだよ。わかった?

    だから居なくならないで...

 

カルセ:(死にたくなかった。)

    (事実本当に恐ろしかった。)

    (今更無意識にそうしたと弁明するならば、余りにも卑怯だろう)

    (私は率直に生きたかったのだ)

 

 

    くっ!

 

    なに…何なんだ…、これは…この光は...?

    こ、これは...気の流れが見えるのか?

 

    ぐっ、目が、すごく痛い!しかし...

    とても...よく見える。

 

    (気の流れが全て見えてる)

    (狩人たちの位置も全てわかる)

    (おまけに、)

    (体が異常なほど力がみなぎっている)

 

    ありがとう。今から一緒に逃げよう。

 


 

<ふぃるる先生コメント>

雨が降って空気の良い週末でしたね!来週も天気が晴れてほしいです。

たのしい1週間をお過ごし下さい!

 

修正日:2023/09/24



コメント: 2
  • #2

    ぴょん吉 (月曜日, 04 6月 2018 13:52)

    アゲハちゃんのセリフがつらい。ずっとそう思わされて生きてきた悲しい言霊。カウリさんが強いのは、アゲハの後でパワーアップした影響も多少あるのかな?

  • #1

    喜田 (木曜日, 24 5月 2018 19:53)

    カウリもカルセも アゲハの糸を体に入れたけど
    これは伏線になりそう…かも しれないですね!