再び5

 

「再び」

 

[妖鈴の泉 秋の地域]

 

アゲハ:ちくしょう、腕が痛くてたまらないな

    かと言ってそのまま置いておくと焦げだし...

    これ以上エイ達を無駄に焼くわけにはいかない...!

    ここでどんだけ過ごすか分からないから...

 

    (何だ...  ? 明らかに足音だ!)

    (首長様...ではないようだ)

    (生きてる者の気配じゃない)

 

    何者か知らないが、それ以上近づいたらこのエイ焼きで埃みたく叩いてやる...

 

カウリ:先生

 

    アゲハ

 

 

[貴方はどんな時弱くなるのか?]

 

アゲハ:(そんな題の作文の宿題を出された事があった)

    (自分が弱くなる瞬間 )

    (死者を相手にする者なら必ず考えなければならないテーマだ)

    (まあそんな授業)

    (貴方はどんな時弱くなるのか?)

    (どんな時に手足に力が入らず震え、)

    (冷や汗が流れ、)

    (言葉に詰まってしまうのか?)

    (その時は適当にびびった時と書いたが、)

    (実際深く考えた事もなかった)

    (今になって分かる。俺は、)

    (安心した時に弱くなるらしい)

 

 

カウリ:お久しぶりです。

 

アゲハ:…… 久しぶり…だと…

    お前が来たらどうするか、ずっと考えてた。

    1ヶ月くらい経った時は,

    背中を一発叩いてやろう、と思ったし

    約3ヶ月くらい経った時は、

    胸ぐらをつかんでやらなきゃと思った

    半年経った時は、

    胸ぐらをつかんで床に叩きつけてやるって

    そう思ってたのに、今は…

    こうやってお前を見ると...

    やっぱ拳骨で一発殴らなきゃな!

 

    はあ?

    お前なぁ人を1年も待たせておいてこれを避ける?!

    マジでケチくさい...

    何だよ、どうした?

    お前…!

 

カウリ:修羅の槍に... 刺されました。

    無様ですね

    それでも俺も一発食らわせてきたで、殴るのは我慢してください

 

アゲハ:[そう、安心して弱くなった心が]

    [感情に備えられなかったんだ]

 

 

アゲハ:いいから、ちゃんと座ってろ

    どうせ大した事ないんだろ、弱ってちい奴め

 

    魂医学には自信ないけど...

    俺の時の糸は触れるだけで治癒されるから、ほとんど治る思うよ。

    何だよ、笑ってんのか? 何で笑うんだよ、お前。馬鹿にしてるのか?

 

カウリ:初めて会った時と全く同じ事を言うので

    覚えてないと言ってたのに、

 


 

アゲハ:俺がお前の命を救った?よくある事だからなぁ…

    覚えてない…

    しかし命の恩人の糸を喰うつもりか

    心が痛むだろ


 

カウリ:今はちゃんと思い出したみたいですね

 

アゲハ:え…?

    俺がそんな事言った?

    俺が…

    え…本当に...あれれ?

    えっと?

    変だな…

    確かに… そんな事があったのに

    そんな事が…あったはずなのに…

    何で…

    ……

 

カウリ:…先生?

 


 

横の糸は記憶、

 

間。

 

生きた時間が縦糸となり、生きた記憶が横糸となって編まれたもの

 

それが「魂」だ

 

糸が解ければ、穴ができる

 

 

カウリ:先生

    糸、もう一度入れないといけません

 


 

<ふぃるる先生コメント>

患者が手術を拒否します先生!

 

修正日:2023/09/30



コメント: 1
  • #1

    りんご (火曜日, 13 8月 2019 09:10)

    横糸使い過ぎた!
    大変だーアゲハさんが廃人になっちゃう!(大袈裟