そうだったら良いな

俺たちは襤褸(ボロ)だった

 

俺たちは渇いていたけど

 

それぞれ隠れて身を竦めたまま

 

別々の檻の中に閉じ込められ

 

白い夜を明かした

 

俺はお前を初めて見た時から

お前が俺であるように感じた

ひどく束積された強力な力

 

俺は制御され、

お前は奪われただけ

 

だからお前に糸を与えても構わなかった

だから俺もお前のように

魂心を食べても良いんじゃないかな

 


 

修羅 :……はは

    ははは…は、はは

 

森羅 :お、弟者、ああ…!

    修よ…!

 

修羅 :はは… 兄さん…

 

森羅 :この馬鹿者…!

    どうしてこんなに馬鹿なんだ、どうして…!

 

修羅 :兄者は何がそんなに利口だというのですか

    何が利口でこの馬鹿な弟と刺し違えて

 

森羅 :僕が白魔地を去る時に坊に残した「かけら」、

    囁きながら入れたもの…

    天が生前に僕に託した事だった

    あまりに情の深いお前が、

    誤った道を行くのを心配されて…

    どうしてそんな心を分かってやれなかった…!

    こんな姿になるまで...

 

修羅 :でも兄者、

    俺はまた戻れたとしても、同じ選択をする。

    ただ神様を取り戻せなかったのが…

    捻じ伏せ奪っても足りぬ青銅鏡眼をすべて抜き取れなかったのが...

    悔しくて、無念なだけだ…

 

森羅 :…… ありが…とう…

    もう本当に…

    思い残す事はない…

 

 

アゲハ:…… 森羅

    あんたはまだ、

    果たすべき責任が残ってる

 

森羅 :アゲハ…!

    目が…!

 

アゲハ:まあ…瞳孔が真っ赤になったみたいだな?

    とにかくじっとしてろ

 

森羅 :有難いが無駄だよ… 

    僕の魂心は弟者の魂心と一つだ…

    弟者の魂心が消えたから僕も…

 

アゲハ:その魂心を食べたのは俺だよ

    俺が吸収した修羅の気を使ってあんたの魂心を補う

 

森羅 :しかし…!糸を…

    どうであっても君の糸なのにそうやって使ったら!

 

アゲハ:糸をむやみ使うと酷い目に遭うのは俺ももう分かった。

    でも今は修羅の魂心のおかげでボロボロだった部分が埋まった

    もうこれからは自分の糸は使わない。あんたが俺の最後の患者だよ

    さっきも言ったけど、あんたには責任を果たしてもらう

 

森羅 :僕は、僕はこれをどう返せば良いのか…

    これをどうすれば…

 

 

ウリ :アゲハさん!

 

アゲハ:ウリ!

    大丈夫、俺だよ。怪我はない?

 

ウリ :ええ... 私はないけど…

    先生たちが行った神源入口の方… 気が変なの!

 

アゲハ:俺が行く!その人ちょっと面倒みててくれ!

 

ウリ :え⁈ この人は誰なの?!

 


 

アゲハ:なんて事だ…!

 

カウリ:こっちも冤鬼の気に満ちてますね

    修羅よりは弱いが…

    数が膨大で危険です

 

アゲハ:…カルセを探さなきゃ

 

 

大丈夫だ、私たちは。

 

これからもそうだろうし

 

そうであって欲しい

 

そうなったら良いな

 


 

<ふぃるる先生コメント>

来週にはおぼろげに最後の話が上がってきます。

 

修正日:2023/10/02



コメント: 3
  • #3

    九官鳥 (月曜日, 10 2月 2020 18:25)

    ずっと、足跡が…あう…
    森羅さん…あなたは生きる人間だ(人間ではない)
    うう…
    ラストフラグか…
    次回…次回…うっ

  • #2

    りんご (月曜日, 10 2月 2020 13:13)

    仮読みしたときからしんどかったけど改めてしんどい
    まさかの森羅さん生存ルートでびっくりだけど嬉しい!あとはカルセか…ゴクリ

  • #1

    ネク (月曜日, 10 2月 2020 12:14)

    一番最後の行はふぃるる先生のコメントとして載せさせていただきました。