白魔地へ6

森羅 :.......僕が裏切ったと思ってる?

 

修羅 :いや。お前の心は最初からここになかったじゃないか

 

森羅 :僕だったら悲しく無いと?だけど...  !

 

修羅 :わかってる。お前も悲しいだろう

    すぐに朝の天について行ける位には、悲しいだろう

    いいんだ

    お前が鏡を怖がっているのは知ってた。分かり合えないのも感じてた

    お前は朝の天に仕えるのが合ってる。でも、僕は...

    ここを離れられない

    この地を離れ他の天に仕える事は出来ない

 

森羅 :........

    時々会いにくるよ

 

修羅 :そこに行っても深く心を寄せるな

    心の拠り所が無くなる気持ちは、知らない方がいいから

 


 

森羅 :あの時の僕は

    僕がそこにいるのは弟者に良くないと思ったんだ

    あの時弟者を一人にしてはいけなかった

 

修羅 :どうだか。兄者がいたところで何も変わりはしなかったはずだ

 


 

修羅 :.......

    だめだ

    残った破片が...

    少なすぎて...

    …天よ…

 

森羅 :お前…!

    どうしたんだよ!

    大丈夫?

 

修羅 :…立派な朝の信徒になったね

    ここに何しに来た

 

森羅 :あの奇怪な者達...君が作ったの?

    この山のあちこちで見かけたけど

 

修羅 :天様が残した時の糸と記憶の糸に…この残った欠片... 

    どうしても合わなくて...魂心がないからだったみたい... 

    ところがある時から何かが見え始めた

    おそらく天様が言っていた...死者の魂みたいだった... 

    彼らに頼んだ。魂心をくださいって

    皆安息を待っていたそうだ。でも、安息を誓った天がああなったから...

    手伝うって言ったんだ

    でも… おかしいんだ…

    これも

    これも

    天様じゃないの... 

    糸が足りないからかと思って、僕の記憶の糸まで混ぜたのに

    天様じゃないよ...

    天様じゃ...ないんだよ...

 

森羅 :起きて、僕が手伝う

    朝の天から多くの事を学んだんだ。僕が手伝ってあげるよ

    まず、魂心を支える実体が必要だ

    木みたいに軽いものを使って、顔を作ってみよう

 


 

森羅 :それが、狩人だ

    青銅鏡の欠片と天の残された糸

    雑鬼の魂心に

    弟者の糸まで集めて

    荒削りの仮面に編みこんだもの

    天ではなかったが

    弟者に忠誠を尽くす怪人たち

 

修羅 :どうだ、将軍。 話は面白かったか?

 

カウリ:……ならば貴様が行った所業は...

    人間への復讐か?

 

修羅 :復讐?

    はははははははは

    復讐だと!

    その長い歳月でこんなにも大それた事を、復讐心でやった思うとは!

    否。我は諦めなかったのだ

 

    鏡の欠片には

    青銅鏡眼には

    今もなお天の魂心が宿っている

    散り散りになって人間の目玉になった鏡の破片は、朽ち果てるものになった

    目玉が腐り落ちれば、魂心の一部が出てくる事がわかった

    だが、人間の目玉が腐るには死なねばならぬだろう

 

    .............

    青銅鏡眼の人間はみな死なねばならぬのだ

    後世に継がせず、全てだ

    そうすれば天の魂心の欠片を全て回収できる

    今の冥土制度は中途半端で混乱している

    安息を見つけられぬ魂が山ほどいるだろう

    その上不浄な者に変化する者までいるではないか

    まさしく貴様みたいな時鬼のように

    夜の天が戻れば、すべての混乱を整理出来る

    それが夜の天を祀る神仙の義務を果たす道だよ

 

カウリ:やはり貴様は狂ってる

 

修羅 :ふむ、火薬の匂いがするな

    時鬼が火薬を使うとは…人間の記憶を持つ者が貴様以外にもいるようだな

    だが、騒がしいのは外での事

    わが兄上と将軍様はどうするおつもりかな

 


 

森羅 :妖鈴と青銅棍は置いて行こう

    潜入するのに鈴の音を鳴らしながら行くの?

 


 

カウリ:…音がするから武具を置いていけと言う方ではないでしょう

    考えがあっての事と思いますが

 

森羅 :考えなんてないよ。僕の心はとても単純だ

    君には余計な力を使ってほしくない

 

    弟者。 交換をしたい

    将軍の骨と、

    僕自身を

 


 

<ふぃるる先生コメント>

妖鈴の音はそんなに大きくありません。

 

修正日:2023/09/30



コメント: 4
  • #4

    ネク (月曜日, 10 6月 2019)

    修羅様…
    「心の拠り所が無くなる気持ちは、知らない方がいい」って
    カホンちゃんと殿下のこと自分と重ねたりなどはしたのでしょうかしょうか!

  • #3

    ゆずは (月曜日, 10 6月 2019 14:54)

    交換...!?
    森羅さん...!!!
    いや、きっと考えがあってのはず...!!!

  • #2

    九官鳥 (月曜日, 10 6月 2019 14:44)

    ええええやめてよ森羅さん行かないで良心なのに!
    この話を聞くと修羅様の気持ちもあながちわからないんだよなぁ

  • #1

    りんご (月曜日, 10 6月 2019)

    交換!
    え〜〜森羅さんどうなっちゃうの���