出る話(最終回)

アゲハ:…セ、

    カルセ、

    カルセ!

    しっかりしろ!

    カルセ!カルセ!

    こ、これは何だ…!

    気を… 浄化中なのか? 魂心に直接?

    何でこんな事を…!

 

カルセ:アゲハ…アゲハか…

 

アゲハ:カルセ!

    何してんだよ、すぐやめろ!

    気をどれだけ使ったんだ、このままじゃ…!

 

カルセ:アゲハ…

    私の部屋で見た紙、覚えてるか?

 

アゲハ:紙? 何…覆う呪術とかいうあれ?

 

カルセ:やっぱり見たのか

    後で紙がなくて、お前が見たんだろうと思った

 

アゲハ:見ても何か分からない! それが何!何で 今その話をする!

 

カルセ:お前の魂… その強力な力は周辺の気はもちろん雑鬼や危険なものまで引き寄せる

    でも考えてみて

    お前が「憑依状態」の時、

    雑鬼達がいつものように襲ってきたか?

    お前の特殊な気は、

    他の魂に覆われていればその力があまり現れない

    魂で隠す事が出来る

    「覆う呪術」というのは、

    他の魂でお前の力を隠せる「蓋」を作るんだ

    元々は私の魂でその蓋を作る実験をしていたんだが…

 

アゲハ:何だって…

 

カルセ:浄化に使ったら蓋として使う魂は残らないな、はは…

    でも、

    お前には既に立派な覆いがあるようだ

    安心したよ

 

アゲハ:いいから、今すぐこんなバカな事はやめろ!

    浄化は俺がしてみるから、カルセは...

 

カルセ:やめるんだ

    もう…やめてくれ。お前は今まで身を削ってばかりだった

    ずっと悩んでた。お前を雨和院に連れて来て良かったのか

    私がお前を、

    別の地獄へ、連れて来たのではないかと…

 

アゲハ:だから死ぬって?!

    それで、元々死ぬつもりだったのか!

    絶対そうはさせない…俺が、俺の力で何とかする…

    今までどうにかして一緒に生き抜いたのに、

    絶対こんな風に死なせない…

    俺の糸をいくら使ってでも…!

 

カウリ:そんなやり方では、アゲハ、

    貴方は同じ過ちを繰り返すだけだ

    失うのを恐れて自分の魂をボロボロにし、

    肝心な時に力尽き倒れてしまう、

    結局全てを失うでしょう

    俺たちはそうやって壊れた敵を相手にしたじゃないですか

 

アゲハ:じゃあどうしろって!カルセを…! 

    俺が助けてやれるんだぞ、目の前にいるのに…!

 

カウリ:耳を澄ませて下さい

    俺たちは今まで遊んでばかりいたわけじゃない

    積み重ねて来たものがある

    アゲハ…貴方が俺に出会い、生かしたからこそ成し遂げた事がある

 

番人 :あれは何だ…時鬼⁈

 

番人 :時、時鬼が何故…

 

アロン:とても大きな餌の塊ですね!

    まあ、少しごちゃついてるけど構わないでしょう!

    全て食べ尽くしておしまい!

 

ジンス:みんな大丈夫か!

 

アーチ:このボケナス!何してたんだ!

 

ジンス:時鬼に雨和院が敵じゃないという事を納得させるのに…

    これからは姉さんも手伝ってもらいます!

    この戦いを終えて時鬼とまた戦うわけにはいかない!

 

番人 :時鬼達が…食べ尽くしてる…

 

アーチ:わかった…

    あれを見て誰が戦おうと思うか

 

アゲハ:あ、カルセ!

 

カルセ:はうっ!

 

アゲハ:もう大丈夫

    こんなの必要ない、全部大丈夫。さあ、取ろう

 

カルセ:ああ…

 

ジンス:さあ! 手伝える人は手伝って下さい! 怪我人はとりあえず雨和院に移しましょう!

 

アロン:逃げる者もお願いね~捕まえられるでしょう?

 

アゲハ:カルセ! しっかりしろ!

 

アゲハ… お前目が…

 

アゲハ:ああ... 瞳孔が赤くなったろ? 俺は魂心を食べたんだ

    修羅の魂心を…

 

カルセ:そうだったのか

    この戦いを終わらせたのはお前だった

    いつも私はお前を守ると、守るものだと、守らなければと思っていた。

    いつも守ってくれるのはお前だね

    アゲハ。もうどこにも縛られるな。

    「反許諾」、消えただろ?

    今すぐ出発するんだ

 

アゲハ:え…うん?

 

カルセ:誰かがお前を捕まえる前に、助けを求められる前に、

    どういう事だと聞かれる前に、

    一度離れるんだ

    心配するな、お前はどこへでも行けるから

    いつでもここに帰ってこれるよ

 

アゲハ:行こう!

 

ジンス:あれ?アゲハ…!

 

アロン:あら、ボス… ?

 

 

 

そうやって駆け出した

 

走って走って、

 

息が顎まで上がって足の力が抜けるくらい走っても

 

終わりが見えなかった。

 

 

 

アゲハ:ああ! これ以上走れない!

    え? 何やってんだ?

 

カウリ:妖鈴の泉からそれ程離れていません

    こんな所でぐずぐずしてたらすぐ見つかってしまう背負いましょう

 

アゲハ:ぷはははは

 

カウリ:何がそんなにおかしいんです

 

アゲハ:ははは

 

 

 

広い空がひろがっていた

 

俺達はどこへ行けばいいか

 

どこまで行けるか

 

わからなかった

 

おわり

 


 

<ふぃるる先生コメント>

<おぼろげに>を読んでくださったすべての方々に感謝いたします。

来週に後記で語り尽くせなかった話を取り上げる予定でコメントで質問いただければ参考にします! 

そしてしばらく休みをとった後エピローグ3回連載予定です。 

ありがとうございました!

 

修正日:2023/10/02



コメント: 2
  • #2

    ぴょんきち (月曜日, 17 2月 2020 10:36)

    ふああああああぁ。゚(゚´ω`゚)゚。
    カルセさんの実験はそういう事だったのですね…。アロン軍団かっこよかった。

  • #1

    ネク (月曜日, 17 2月 2020 10:22)

    最後の文章は先生のコメントとして置いてます