エピローグ|空船の引き寄せ方2

アゲハ:わ、これ本当に久しぶりだ! 今まで金がなくて乗れなかった!

    四神会首長と乗ってから初めてだよ! セスルさん、金持ちだなだな?

 

セスル:まったく

    あいつは元々だけど、アゲハお前も本当に薄情だ

     3年間顔すら見せずにほっつき歩いてんのか?

    金もない野郎どもを全員捨てて行きたいぜ!

 

アゲハ:はは、ごめん

 

セスル:それで、望み通り旅できて満足か?

 

    …はあ。言わなくてもわかる

    じゃあ…今まで塩を売りながらふらついてたのか?

 

アゲハ:塩はまあ… 売れたら良いくらいなもので

    時々大小な祭祀をしたり雑鬼を追っ払ったり

    それでご飯や報酬ももらったりしてたんだ

 

セスル:…平凡な対話者の人生だな。ところで、

    カウリお前その格好は何だ? まさか人間の真似か?

 

カウリ:何だと

 

セスル:いや... 両目を覆って普通に歩き回ってるのに人間に見えるとでも?

 

アゲハ:とんでもない武術の達人だと勝手に勘違いされてたよ。

 

セスル:はあああああ。

 

アゲハ:ははっ

 

セスル:ありえねえ… お前らに会ってすげえ疲れた… ったく…

     3年もの間どうやって生きてたんだよ?

    誰の助けも借りないで

    カルセの奴、口を開けばお前の心配だ

    カルセの誕生日に手紙と言って数行書いて本だけ送ればそれでいいのか?

    生きてる事だけ知ってろって?

 

アゲハ:はは…

 


 

セスル:うああっ‼︎

 

アゲハ:な、何だ⁈

 

アロン:あら、失礼しました

    嬉しさのあまり

 

アゲハ:あんたは...!

 

カウリ:アロン

    …いや。もう「ボス」と呼ぶべきかな?

 

アロン:まさか、冗談でしょう。

    時鬼の群れに入る気もないくせに

 

アゲハ:カウリが去ってから時鬼達を統率してるって聞いたけど

 

アロン:あんな逃げるように立ち去ったら親分扱いもできませんよ

    実際ボスの役割は私がずっとしてたんです

 

    今更尋ねますが、「ならず者のカウリ」

    あなた、本当に時鬼の首領になるつもりは最初からなかったのですか?

 

カウリ:時鬼の群れというのは使えそうだとは考えていたな。

 

アロン:はは、時鬼ときたら!

 

カウリ:それで、よろしく言う為にこんなに派手に現れたのか?

 

アロン:この面白い乗り物に便乗したいからです

    私も雨和院に行く途中なんですよ。

 

カウリ:雨和院に?

 

アロン:ええ。「定例会議」があるんですよ。

 


 

運転手:どう、どう

 

アゲハ:(再び) 

    (此処へ)

 

カウリ:大丈夫です。もうここはあなたを閉じ込める事はできない

 

アゲハ:…わかってる

    

    あれ? あの子は...サ…

 

ナリ :ササ!

    ここにいたの!今日の会議の為に厨房で…

 

ウリ :あれ?アゲハさん⁈

    驚いた!本当に久しぶりね!

 

アゲハ:ヘウ…いや、ウリか!いやぁ…背が伸びた?

 

ナリ :ええっ今までどこに行ってたの!

 

ウリ :連絡もしてこないし‼︎

 

アゲハ:…ササは、

 

ウリ :ああ、あの子はあの事件の後に自主退学したの。

    もう「雨和院」じゃない。

 

ナリ :今は私と一緒に厨房で仕事を手伝ってる。

    ウリが雨和院生になって退屈してたから私は嬉しいよ、まあ。

 

ウリ :狩人の力はすべて消え、今はただの人なのに…

    謝罪の意味で雨和院を手伝うを志願したのよ。

    …悪いのはその修羅って奴なのにね。

 

アゲハ:…本人がそうしたいならそうさせよう

    それがあの子の克服の方法なのさ

 

ウリ :それより、早く、早く! アゲハさん!

 

ナリ :カルセ先生に会いに行かなきゃ、早く!

 

アロン:一緒に行きますか。会議にカルセ教授も出席するんですよ。

    会議も見物して下さい、見応えがあります。

    時鬼たちは今雨和院と協力関係にあります

    [浄化]、[祭祀]、[対話]、[制圧]…

    それに加え雨和院が魂を治める新しい方法を探すようになったのです。

    正しく時鬼の力を利用すること。

 


修正日:2023/10/03

<管理人コメント>

本文中に「도령」と区切られた箇所がありますが、これは雨和院出身者は敬称としてずっと名前の後についていました

日本語版ではこれが省かれて書かれていたのでここでも書かずにいましたが

単独ででてきたので意味が通じるように「雨和院」と訳しました。

今は雨和院生ではないので「ササ도령」はただのササになったと言うことです

おそらくカリも退学(除籍処分?)なので「カリ도령」がカリになっていることでしょう

あ、でもカリは死んだ事にされたからそのままですかね

 

도령を訳すと道令になるのかな?

雨和院出身者につくということは作品の最初の方に注釈で書かれています



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